痛みの進行と悪化
① 第1段階では、まず骨格が歪み(猫背やО脚、骨盤・背骨の歪みなど)、歪んだ骨格に筋肉(靭帯)が不自然に引っ張られて筋肉が慢性的に緊張して硬くなり、血流が低下し疲労物質(乳酸)のかたまりであるシコリ(コリコリとも言い、痛みやこりの直接原因)が発生して、痛みやこりなどの症状が起こります。
これが肩こり、首の痛み・腰痛などに代表される 筋肉痛 です。そしてこの筋肉痛のみの段階を未病(まだ病気でない状態)といいます。
20代~40代の方の90%以上はこの未病の痛みになり、この未病の段階ではそのほとんどが整体で早期に治癒します。(腰椎椎間板ヘルニアだけは、この年代でも起こる可能性が十分あります。)
その結果、慢性的に関節が固まって疼痛や炎症を起こし、徐々に軟骨がすり減ったり、関節自体が変形したりする関節症や神経痛のリスクが高まり、腰椎・頸椎のヘルニアや狭窄症、変形性股関節症・変形性膝関節症、坐骨神経痛、手足のしびれなどに代表される病気(疾患)の、初期から中期に近づいてきます。
この初期から中期の関節症・神経痛は、50代から急に増え始めます。この段階では、整体で痛みのほとんどはとることができますが、一度傷んだり摩耗した関節は基本的に元には戻りませんので、これ以上関節を傷めないための日常的なケアの意識は必要になります。
③病気になり関節症や神経痛が進行悪化して、痛みやしびれがきつくなり日常生活やお仕事、歩行などに支障をきたすと手術の可能性が出てきます。
病気が進行悪化する理由。
40代まではあまりみられない関節症、神経痛が、50代に入ると急に増えてきて、それから徐々に年齢が上がるほど手術の数も増えてくることを考えても、老化による血流の低下からの筋肉・関節の硬化と弱化が一番の原因であることは間違いがないと思います。
そしてこの老化に遺伝(体力・側湾症、臼蓋形成不全など)・昔のケガ(事故・スポーツなど)・生活習慣(ハードなお仕事・肥満・運動不足など)・ご自分の身体の継続的なケアの意識(姿勢の矯正・運動・食事の質・ストレッチ)などが上乗せされて、関節症・神経痛が進行悪化していくのだと思います。
簡単な図式にすると、
老化×(遺伝+ケガ+生活習慣+ケアの意識)
になります。年々老化によって身体の自然治癒力が低下するのは皆さん同じなのですが、他の要因、特に身体に負担の大きい生活習慣の改善と、日常のケアの意識をしっかりと持つことによって、ご高齢になっても病気にならない身体を維持することは十分可能性があると思います。
実際、これまでにいろいろな方々にお話を伺ってきましたが、特に80代、90代で元気な方ほどご自分の健康法をしっかりと持たれていたり、身体のケアには人一倍気を付けていらっしゃる方が多いです。
逆に、50代、60代で手術まで進行悪化される方は、日常での身体のケアの意識が低く、痛みが出ると薬やシップ注射などでとことん我慢されて、それらが効かなくなるまで無理をしてハードなお仕事や農作業、スポーツ、家事などを続けられている方が多いです。